○中富良野町景観条例
令和5年6月21日
条例第16号
目次
第1章 総則(第1条―第8条)
第2章 景観計画及びこれに基づく措置(第9条―第25条)
第3章 景観まちづくりの取組(第26条―第29条)
第4章 雑則(第30条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、中富良野町(以下「町」という。)の美しい景観の保全と形成に関し必要な事項及び景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)の施行に関し必要な事項を定めるとともに、景観形成に関して必要な事項を定め、町民、来訪者、事業者及び行政が協働して取り組むことにより、町の良好な景観を未来へ継承することを目的とする。
(1) 町民等 中富良野町内(以下「町内」という。)に住所を有する人、町内で働く人、町内で学ぶ人及び町内で活動する法人その他団体をいう。
(2) 事業者 町内で事業活動を営む者及び事業を営もうとする者をいう。
(3) 設計者等 建築物又は工作物の設計又は施工を行う者及び土地の区画形質の変更の計画・設計又は施工を行う者をいう。
(4) 景観計画 法第8条第1項に規定する景観計画をいう。
(5) 景観計画区域 法第8条第2項第1号に規定する景観計画区域をいう。
(6) 景観まちづくり 景観に対する町民等や事業者の意識醸成を図り、景観を守り、磨き、景観の魅力を伝え、次世代へつなぐことをいう。
(7) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。
(8) 工作物 建築物以外の工作物で規則で定めるものをいう。
(9) 屋外広告物 屋外広告物法(昭和24年法律第189号)第2条第1項に規定する屋外広告物をいう。
(10) 建築等 法第16条第1項第1号に規定する建築等をいう。
(11) 建設等 法第16条第1項第2号に規定する建設等をいう。
(12) 景観重要建造物 法第19条第1項に規定する景観重要建造物をいう。
(13) 景観重要樹木 法第28条第1項に規定する景観重要樹木をいう。
(基本理念)
第3条 町は、次に掲げる基本理念に基づき、中富良野町らしい景観まちづくりを推進する。
(1) 良好な景観の形成は、十勝岳・芦別岳からつづく丘陵地に抱かれた四季折々の自然景観と富良野盆地に息づく穏やかな文化景観を未来につなぐよう推進されなければならない。
(2) 良好な景観の形成は、町民、来訪者、事業者、行政の主体的な取組によることを基本とし、適切な役割分担による協働により推進されなければならない。
(町民等の責務)
第4条 町民等は、自らが景観まちづくりの主体であることを認識し、相互に協力して景観づくりに寄与するよう努めなければならない。
(行政の責務)
第5条 行政は、法第2条に定める基本理念及び第3条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、良好な景観の形成に関する総合的かつ計画的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2 行政は、景観まちづくりに関する施策の策定及び実施において、町民の意見が十分に反映されるよう努めなければならない。
3 行政は、良好な景観の形成を効果的に推進するため、町民、来訪者、事業者、行政が相互に連携を図ることができるよう、必要な措置を講ずるものとする。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念に基づき、自らの事業活動が町の景観の形成に深い関わりを持つことを認識し、事業活動の際にはその周辺の景観に十分配慮するとともに、町が実施する良好な景観の形成に関する施策に協力しなければならない。
(設計者等の責務)
第7条 設計者等は、自らの設計及び施工が地域の景観に大きな影響を与えることを認識し、その実施に当たつては、地域の景観を損ねることのないよう自らの責任と負担において必要な措置を講じるとともに、景観まちづくりに寄与するよう努めなければならない。
(適用区域)
第8条 この条例は、中富良野町全域について適用するものとする。
第2章 景観計画及びこれに基づく措置
(景観計画の策定)
第9条 町は、基本理念に基づき、良好な景観の形成に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、法第9条各項の規定に基づき、景観計画を定めるものとする。
2 町長は、景観計画において、景観計画の区域のうち、景観づくりを推進する上で特に重要であると認める区域を景観重点区域として指定し、当該区域における必要な事項を定めることができる。
4 前項の規定は、景観計画の変更(規則で定める軽微な変更を除く。)についても準用する。
(行為の届出等)
第10条 法第16条第1項若しくは第2項の規定による届出又は同条第5項の規定による通知(以下「行為の届出等」という。)は、規則で定めるところにより行わなければならない。
2 法第16条第1項第4号の条例で定める行為は、次の各号に掲げる行為とする。
(1) 樹木の伐採
(2) 土石・資材・その他の堆積
3 景観法施行規則(平成16年国土交通省令第100号)第1条第2項第4号の条例で定める図書は、規則で定める図書とする。
(適用除外行為)
第11条 法第16条第7項第11号の条例で定める行為は、次に掲げる行為とする。
(1) 法第16条第1項第1号から第3号までに規定する行為(同項第2号に掲げる行為にあつては、規則で定める工作物に係る行為に限る。)のうち、規則で定める規模以下のもの
(2) 農業及び林業を営むために行う行為
(3) 他の法令又は条例の規定に基づき、許可、認可、届出等を要する行為のうち、規則で定めるもの
(特定届出対象行為)
第12条 法第17条第1項に規定する特定届出対象行為は、法第16条第1項第1号及び第2号の届出を要する行為とする。
(事前協議)
第13条 景観計画区域内において行為の届出等をしようとする者(以下「届出者」という。)は、当該届出を行う前に当該行為の設計、施工方法等について、町長と協議しなければならない。
2 町長は前項の規定による協議の申出があつたときは、その協議に応じ、速やかに必要な助言をするものとする。
(説明会の開催)
第14条 届出者は、前条第1項に規定する協議を行つた後、当該届出に係る行為の内容及び景観への影響について関係住民等の理解を得るための説明会(以下「説明会」という。)を開催しなければならない。
2 届出者は、説明会を開催する場合は、説明会を開催する日の1週間前までにその旨を関係住民等に公表するとともに、町長に通知しなければならない。
3 町長は、説明会の開催に当たつて、町職員を立ち会わすことができる。
4 届出者は、説明会を行つたときは、規則で定めるところにより、その結果を町長に報告しなければならない。
5 届出者は、説明会において関係住民等との協議により必要が生じた場合は、関係住民等と協定を締結するものとする。
6 町長は、当該届出に係る行為の位置、規模、目的等が景観に与える影響が大きいと認めるときは、規則で定めるところにより、当該行為について、町民の意見を聴く機会を設けることができる。
(勧告又は変更命令等の手続)
第15条 町長は、法第16条第3項の規定による勧告をしようとするとき、又は法第17条第1項若しくは第5項の規定により必要な措置を命じようとする場合において、必要があると認めるときは、中富良野町景観審議会の意見を聴くことができる。
(公表)
第16条 町長は、法第16条第3項による勧告を受けた者が、当該勧告に従わないときは、その者の氏名又は名称及び当該勧告の内容を公表することができる。
2 町長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該勧告を受けた者の意見を聴かなければならない。ただし、その者が正当な理由なく意見の聴取に応じないとき、その他意見の聴取が困難であると町長が認めるときは、この限りでない。
(法に基づく届出をした者に対する通知)
第17条 町長は、法第16条第1項又は第2項の規定による届出があつた場合において、当該届出に係る行為について、良好な景観づくりに支障を及ぼすおそれがないと認めるときは、その旨を当該届出をした者に通知するものとする。
(空地等の管理の要請)
第18条 町長は、景観計画区域内の空地、遊休地、廃屋等(以下「空地等」という。)が当該地区の景観を著しく阻害していると認めるときは、当該空地等の所有者又は占有者に対し、良好な景観形成に配慮した空地等の管理を行うよう要請することができる。
2 町長は前項の規定により要請しようとする場合において、必要があると認めるときは、中富良野町景観審議会の意見を聴くことができる。
(廃屋等の管理の要請)
第19条 町長は、次に掲げる事項に該当する建築物又は工作物で、良好な景観の形成を著しく阻害していると認められるものがある場合は、その所有者又は管理者に対し、必要な措置を講ずるよう要請することができる。
(1) 損傷、腐食等により外観の大半が損なわれており、現に使用又は維持管理をされていないこと。
(2) 外観が損なわれている状況を沿道景観軸、沿線景観軸及び水系景観軸から容易に認識できること。
(3) 町民等から意見があり、良好な景観の形成に支障を及ぼすおそれがあると町長が認めたもの
2 町長は、前項の規定により要請しようとする場合において、必要があると認めるときは、中富良野町景観審議会の意見を聴くことができる。
(景観重要建造物の指定)
第20条 町長は、法第19条第1項の規定により景観重要建造物を指定しようとするときは、同条第2項の規定に定めるもののほか、必要があると認めるときは、中富良野町景観審議会の意見を聴くことができる。
(景観重要建造物の管理の方法の基準)
第21条 法第25条第2項の規定により条例で定める管理の方法の基準は、次に掲げるものとする。
(1) 景観重要建造物の修繕は、原則として当該修繕前の外観を変更することのないようにすること。
(2) 消火設備の設置その他の景観重要建造物の防災上の措置を講ずること。
(3) 景観重要建造物の滅失を防ぐため、その敷地、構造及び建築設備の状況を定期的に点検すること。
(4) 前3号に掲げるもののほか、景観重要建造物の良好な景観の保全のため必要な管理の方法の基準として規則で定めるもの
(景観重要樹木の指定)
第22条 町長は、法第28条第1項の規定により景観重要樹木を指定しようとするときは、同条第2項の規定に定めるもののほか、必要があると認めるときは、中富良野町景観審議会の意見を聴くことができる。
(景観重要樹木の管理の方法の基準)
第23条 法第33条第2項の規定により条例で定める管理の方法の基準は、次に掲げるものとする。
(1) 景観重要樹木の良好な景観を保全するため、剪定その他の必要な管理を行うこと。
(2) 景観重要樹木の滅失又は枯死を防ぐための措置を行うこと。
(3) 前2号で掲げるもののほか、景観重要樹木の良好な景観の保全のため必要な管理の方法の基準として規則で定めるもの
(景観資産の指定)
第24条 町長は、次の各号のいずれかに該当する建築物(景観重要建造物及び法第19条第3項に規定する建造物を除く。)、樹木(景観重要樹木及び法第28条第3項に規定する樹木を除く。)その他の物であつて、良好な景観の形成上重要な価値があると認めるもの(以下この項において「資産」という。)を町の景観資産として指定することができる。
(1) 意匠、様式(樹木にあつては、樹容)等が良好な景観を特徴付けているもの
(2) 地域の歴史を物語る象徴的なものやこと
(3) 町民や観光客から親しまれているものやこと
(4) 優れた景観を眺望できる場所
(5) その他特に町長が良好な景観の形成上重要な価値があると認めるものやこと、場所
2 町長は、景観資産を指定しようとするときは、あらかじめ、その所有者及び権原に基づく占有者(以下「所有者等」という。)の同意を得なければならない。また、必要があると認めるときは、中富良野町景観審議会の意見を聴くことができる。
3 町長は、第1項の規定による景観資産の指定をした時は、その旨を告示するとともに、その所有者等に通知しなければならない。
4 町長は、第1項の規定による景観資産の指定をしたときは、規則で定めるところにより、これを表示する標識を設置するものとする。
(景観資産の指定の解除)
第25条 町長は、景観資産が朽廃、滅失等により景観資産としての価値を失つたときその他特別の理由があると認めるときは、景観資産の指定を解除することができる。
2 前条第3項の規定は、景観資産の指定の解除について準用する。
第3章 景観まちづくりの取組
(協働による景観まちづくり)
第26条 町民、来訪者、事業者及び行政は、相互の連携及び協働により景観まちづくりの推進に努めるものとする。
(表彰)
第27条 町長は、良好な景観まちづくりに著しく寄与したと認められる行為を行つた者を表彰することができる。
2 町長は、前項の規定により表彰する者を決定しようとする場合において、必要があると認めるときは、中富良野町景観審議会の意見を聴くことができる。
(助成等)
第28条 町長は、景観重要建造物及び景観重要樹木の所有者等に対し、その保存のために技術的援助を行い、又はその保存等に要する経費の一部を助成することができる。
2 町長は、前項に定めるもののほか、景観まちづくりに寄与すると認められる行為を行おうとする者に対し、技術的援助を行い、又はその行為に要する費用の一部を助成することができる。
(審議会)
第29条 本町の良好な景観形成に必要な事項を調査審議させるため、町長の付属機関として中富良野町景観審議会(以下「審議会」という。)を設置するものとする。
2 審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定める。
第4章 雑則
(委任)
第30条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、令和5年8月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際、現に北海道景観条例(平成20年北海道条例第56号。以下「道条例」という。)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、この条例の相当規定によりなされた処分、手続その他の行為とみなす。
4 規則で定める日から第9条の規定により景観計画を策定するまでの間、法第16条第7項第11号の条例で定める行為は、道条例に規定する行為とする。